【必読】医療安全管理者向け!3点照合システムとバーコード運用の基礎
医療の質と安全を守るために不可欠な3点照合システム。しかし、導入したものの「バーコードが読み取れない」「端末が重くて現場から不満が出る」といった運用面の壁にぶつかるケースは少なくありません。実は、システムの効果を最大化するには、現場環境に合った「ハードウェア選定」がカギを握ります。今回は、医療現場のワークフローを止めないためのバーコード運用の基礎知識と、最適なリーダやハンディターミナルの選び方をご紹介します。

目次
医療安全における3点照合システムの重要性
なぜ目視確認だけでは不十分なのか
医療現場において「患者」「薬剤」「実施者(看護師)」の整合性を確認することは、安全管理の基本中の基本です。しかし、多忙を極める臨床の現場において、人間の注意力のみに依存した目視確認には限界があります。
日本医療機能評価機構の報告などを見ても、薬剤の取り違えや患者間違いによるインシデントは依然として報告されています。特に夜勤帯や緊急時など、スタッフの疲労が蓄積している状況下では、思い込みによる確認ミスが発生しやすくなります。これを防ぐために、バーコードやQRコードを用いた機械的な照合プロセス、すなわち3点照合システムが不可欠なのです。システムが物理的に「一致」を判定することで、ヒューマンエラーの入り込む隙間を極限まで減らすことが可能になります。
3点照合がもたらす現場へのメリット
3点照合システムの導入は、単なる事故防止だけでなく、看護業務の効率化にも寄与します。例えば、実施記録が自動的に電子カルテに転送される仕組みを構築すれば、転記ミスの防止や記録業務の時間短縮につながります。
また、新人看護師にとっても、システムが正誤判定をしてくれることは大きな安心感につながります。「本当にこの患者様で合っているか」という心理的負担を軽減し、ケアそのものに集中できる環境を作ることができるのです。安全管理と業務効率化はトレードオフの関係ではなく、適切なシステム運用によって同時に達成できるものです。厚生労働省「医療安全管理者のための指針」について
バーコード運用の基礎知識と規格
医療現場で使われる主なバーコード規格
医療現場で利用されるバーコードには、一般的なJANコード以外にも特殊な規格が存在します。特に重要なのが「GS1-128」や「GS1 DataMatrix(データマトリックス)」です。
これらは、商品コードだけでなく、有効期限やロット番号などの詳細情報を格納できるため、トレーサビリティの確保に役立ちます。特にアンプルやバイアルなどの極小スペースには、省スペースで多くの情報を記録できる2次元コード(GS1 DataMatrixなど)が採用されるケースが増えています。医療安全管理者としては、自院で扱う薬剤や機材にどの規格が採用されているかを把握し、それに対応したリーダを選定する必要があります。
リストバンドと認証の仕組み
患者認証の要となるのがリストバンドです。ここには患者IDを含むバーコードが印字されています。3点照合の基本的なフローは、まず看護師が自身のID(職員証など)をスキャンし、次に患者様のリストバンドをスキャン、最後に薬剤のバーコードをスキャンするという流れが一般的です。
この一連の動作において、リストバンドの印字品質や素材は非常に重要です。入浴や発汗でバーコードが滲んでしまったり、曲面になっていて読み取りにくかったりすると、照合エラーの原因となります。運用を成功させるためには、耐久性の高いリストバンドの選定と、曲面でもスムーズに読み取れる二次元コード化や高性能なスキャナの導入が求められます。
現場で起こりがちなトラブルと解決策
「読み取れない」ストレスを解消するために
現場から最も多く上がる不満は「バーコードがなかなか読み取れない」というものです。何度もスキャナをかざし直す時間は、一分一秒を争う医療現場では大きなロスとなります。
読み取り不良の原因は主に3つあります。1つ目はバーコード自体の低品質(規格外)や汚れや損傷、2つ目は照明の反射や暗さなどの環境要因、そして3つ目がスキャナの性能不足です。特に、点滴バッグのような透明で湾曲した対象物や、血液保存バッグのような特殊なラベルは、一般的な汎用スキャナでは読み取りが困難な場合があります。こうした課題には、低品質なコードでも瞬時に読み取れるデコード能力の高いリーダや、照明機能を備えた機器へのリプレースが有効な解決策となります。恒久的な対策としては、低品質なバーコードを無くすため二次元コード化や適性のあった品質のラベルプリンタへリプレースこと、ラベルの貼り付けの際にしわにならないように綺麗に貼ることも大事です。
運用フローの形骸化を防ぐ
システムを導入しても、現場スタッフがそれを正しく使わなければ意味がありません。よくある失敗例として、読み取りが面倒だからといって、あらかじめプリントアウトした予備のバーコードをナースステーションでまとめてスキャンしてしまう、といった「抜け道」運用が挙げられます。これでは3点照合の意味がありません。
形骸化を防ぐためには、スタッフへの教育はもちろんですが、なにより「正しくやる方が楽で早い」と思わせるシステム構築が必要です。例えば、ワイヤレスで取り回しの良いBluetooth対応のスキャナや、片手で操作できる軽量なハンディターミナルを採用することで、ベッドサイドでの認証作業の負担を減らすことができます。
感染対策と機器のメンテナンス
病院内では、使用する機器の衛生管理も重要な課題です。多くのスタッフが触れるバーコードリーダやハンディターミナルは、交差感染のリスク因子となり得ます。
そのため、医療現場で使用する機器は、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどで頻繁に清掃・消毒できる「耐薬品性」を備えた専用モデルであることが望ましいです。一般的な樹脂を使用した製品は、強い薬剤で拭くと劣化やひび割れ(クラック)を起こす可能性があります。抗菌仕様やメディカルグレードの筐体を持つ製品を選ぶことは、機器の寿命を延ばすだけでなく、院内感染対策の観点からも非常に重要です。
失敗しないハードウェア選定のポイント
形状の選択:ガンタイプか、モバイルか
3点照合に使用するデバイスには、主にPCやカートに接続する「ガンタイプ(スキャナ)」と、液晶画面を持ち単体で動作する「ハンディターミナル(PDA)」、あるいはスマートフォン活用があります。
看護カートをベッドサイドまで持ち込む運用であれば、バッテリ切れの心配がない有線式や、カート上に設置しやすいBluetooth接続のガンタイプスキャナが適しています。一方、スタッフの機動力を重視する場合や、その場でバイタル入力なども行いたい場合は、Android OSなどを搭載した高機能なハンディターミナルが推奨されます。アイメックスでは、現場の運用スタイルに合わせて、シンプルなスキャナから業務アプリが稼働するスマートデバイスまで幅広くラインアップしています。
読み取り性能と操作性
前述の通り、薬剤のバーコードは年々小型化しています。また、積み重ねられた薬剤の中から特定の一つを狙い読みする機能や、多段バーコードを一括で読み取る機能など、医療現場特有のニーズに応える性能が必要です。
また、操作音やバイブレーション機能も重要です。夜間の病棟では大きな「ピッ」という電子音は患者様の睡眠を妨げるため、振動で読み取り完了を知らせるバイブレーション機能付きのモデルが好まれます。スペック表の数値だけでなく、こうした「現場での使い心地」を考慮して選定することが、定着するシステム作りの第一歩です。
堅牢性とサポート体制
医療現場はハードな環境です。コンクリートの床に落下させてしまったり、薬剤がかかってしまったりすることは日常茶飯事です。そのため、耐落下性能や防塵防滴性能(IP等級)が高い製品を選ぶことは必須条件です。
また、万が一故障した際のサポート体制も重要です。海外製の安価な汎用品は、修理に時間がかかったり、代替機の手配が難しかったりすることがあります。長期的に安心して運用するためには、国内にサポート拠点を持ち、迅速なメンテナンス対応が可能なメーカの製品を選ぶことを強く推奨します。アイメックスであれば、代替機の貸出や細かい技術相談にも柔軟に対応可能です。
まとめ
医療安全における3点照合は、患者様とスタッフを守る生命線です。本記事では、目視確認の限界を補うシステムの重要性、GS1などのコード規格、そして現場での運用トラブルを防ぐための機器選定ポイントについて解説しました。特に、読み取り性能、耐薬品性、堅牢性は、スムーズな運用に欠かせない要素です。現場の負担を減らし、確実な照合を実現するためには、医療現場向けに最適化された専用機の導入が近道です。運用改善のご相談はお気軽にどうぞ。本コラムでは、今後も皆様のお役に立つ情報の発信を続けてまいります。
投稿者プロフィール

- 業界27年のベテラン営業マン兼ライター。
積極的に海外からも良い製品を探してくるが基本的にはモノづくり大好き人間。





