【徹底解説】2次元コードとは?種類・メリット・デメリットから最新活用事例まで
目次
2次元コードとは

皆さんは、商品のパッケージや観光地の案内板、スマートフォンの決済画面などで、正方形のマークのような「2次元コード(2Dコード)」を目にしたことはありませんか?「2次元コード」とは、従来の一次元バーコードを発展させ、より多くの情報を限られたスペースに格納できるようにしたバーコードです。縦と横の両方向にデータを配置することで、英数字に加えて、ひらがなや漢字といった文字情報も扱うことができます。代表的なものに「QRコード」があり、スマートフォン決済やチケット認証、製品管理など幅広い場面で活用されています。今回は、代表的な2次元コードの種類について詳しくご紹介します。
2次元コードの種類
2次元コードは、情報の配置方法により「マトリックス型」と「スタック型」に大別されます。マトリックス型は縦横の格子状にデータを配置し、「QRコード」や「Data Matrix」が代表例です。高い情報量と読み取り精度を活かし、製品管理やスマートフォン決済など幅広く活用されています。一方、スタック型は一次元バーコードを複数段に積み重ねた構造で、「PDF417」や「GS1 Databar Composite」などがあり、主に運送業や公共機関で利用されます。
QRコード

QRコード(キューアールコード)は、1994年にデンソーウェーブが開発した2次元コードで、Quick Responseの名の通り高速読取が特長です。シンボルは正方形で、3つの位置検出パターンを持ち、360度どの方向からでも読み取り可能。英数字・漢字・カナなど多様な文字に対応し、誤り訂正機能も備えています。JIS X 0510やISO/IEC 18004といった国際規格に準拠し、製品管理から電子決済、広告、チケット認証まで幅広い用途で利用されています。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
DataMatrix

Data Matrix(データマトリックス)は、非常に小さなスペースにも印字可能なマトリックス型の2次元コードです。英数字、記号、漢字・かな、さらにはバイナリデータにも対応し、最大で約2,300文字までの情報を格納できます。
高い誤り訂正機能(ECC200)を備えており、コードの一部が汚損・欠損していても正確な読み取りが可能です。この特性から、自動車の車体認識のような高い信頼性が求められる分野や、医療機器、電子部品、精密機械など、限られたスペースに確実な識別情報を必要とする場面で広く活用されています。
また、製品のトレーサビリティ確保にも貢献し、サプライチェーン全体での追跡を可能にします。医療業界やヘルスケア分野では、国際標準であるGS1 DataMatrixとして採用され、医薬品や医療機器の個体識別に使用されています。Data MatrixはISO/IEC 16022に準拠しています。
MaxiCode

MaxiCode(マキシコード)は、米国の配送大手UPS社が開発したスタック型2次元コードで、中央に配置された点状の円形ターゲット模様が大きな特徴です。この構造により、読み取り装置による高速スキャンが可能で、移動中の荷物にも正確に対応できるという利点があります。1インチ四方程度のサイズでも、テキストや数値データを格納でき、物流ラベルや配送管理に最適化されています。特に宅配便の仕分けや追跡において高い実用性を発揮し、世界中の物流業界で広く活用されています。
AztecCode

Aztec Code(アズテックコード)は、中央の「ターゲット」と呼ばれる正方形のパターンからデータが同心円状に展開されるマトリックス型2次元コードです。最大の特徴は、余白(クワイエットゾーン)が不要で、非常に小さなスペースでも印字・表示が可能な点です。また、誤り訂正機能が強力で、損傷や汚れがあっても高い読み取り精度を維持できます。このため、鉄道のモバイル乗車券、医療機関の識別ラベル、行政文書など、限られたスペースで確実な情報伝達が必要な場面に広く活用されています。
PDF417

PDF417は、スタック型2次元コードの一種で、一次元バーコードを縦方向に積み重ねたような構造を持ちます。文字、数字、記号のほか、画像や簡易的な写真データも格納可能で、最大約2,700文字程度の情報を保持できます。誤り訂正機能も備えており、一部が破損していてもデータの復元が可能です。このため、個人情報や識別情報を安全に埋め込む用途に適しており、日本では運転免許証、マイナンバーカード、搭乗券などに幅広く利用されています。
GS1 Databar Composite

GS1 DataBar Compositeは、1次元のGS1 DataBarシンボルと、その上に重ねて表示される2次元コンポーネント(MicroPDF417やPDF417など)を組み合わせた合成シンボルです。商品コード(GTIN)に加えて、賞味期限、ロット番号、シリアル番号といった付加情報を格納できます。特に、医療品や生鮮食品など、トレーサビリティや期限管理が重要となる小容量の商品識別や包装に広く利用されています。これにより、流通の高度化や安全・安心なサプライチェーンの実現に貢献します。
2次元コードのメリット
2次元コードは、一次元コードに比べて格納できる情報量が多く、文字・数字・記号に対応可能です。誤り訂正機能を備えているため、多少の汚れや損傷があっても正確な読み取りが可能で、実用性と信頼性に優れています。
大容量のデータを格納できる
2次元コードは、縦横2方向にデータを配置するため、従来の1次元バーコードより格段に多くの情報を小さな領域に詰め込めます。これにより、1次元バーコードの数十倍から数百倍もの情報量を扱い、数字のみで最大7,089文字の大容量データを1つのコードで表現可能です。
数字や英字に加え、漢字、カナ、ひらがな、記号、バイナリデータなど多様なデータタイプに対応。製品履歴、URL、連絡先情報など詳細なデータを効率的に管理し、限られたスペースに集約できるため、様々な業務におけるデータ活用の幅を大きく広げます。
汚れや破損に強い
2次元コードは、工場などの過酷な環境での使用を想定して開発されました。このため、独自の誤り訂正機能を持っており、コードの一部が欠けたり汚れたりしても情報を復元できる高い耐久性を誇ります。具体的には、データの最大30%程度が損なわれても、正確に内容を読み取ることが可能です。これは、リードソロモン法という高度な数学的手法を用いて、高精度のエラー検出・訂正を実現しているためです。この強力な誤り訂正能力により、2次元コードは物理的な損傷や汚れがある状況下でも誤読を防止し、安定した読み取り性能を発揮することができます。これにより、物流や製造現場など、厳しい環境下でのデータ管理において大きな信頼性を提供します。
あらゆる向きで素早く読み取れる
2次元コードの大きな特徴の一つは、その優れた読み取り性能です。コードの3つの角に配置された「切り出しシンボル」は、スキャナーがコードの位置と範囲を即座に特定するのに役立ちます。この設計により、2次元コードは360度どの角度からでも読み取りが可能であり、スキャン時にコードの向きを気にする必要がありません。これにより、作業効率が大幅に向上し、特に多量のコードを連続して読み取る必要がある現場では大きなメリットとなります。
さらに、2次元コードは背景模様の影響を受けにくい設計が施されており、安定した高速読み取りを実現しています。これにより、様々な環境下でのスムーズなデータ取得を可能にし、業務プロセスの迅速化に貢献します。
2次元コードのデメリット
2次元コードは高い誤り訂正機能を持つ一方で、その復旧手段には限界が存在します。コードが深刻な損傷を受けた場合、たとえ一部の情報が復元可能でも、完全に読み取れなくなるリスクは拭えません。また、1次元バーコードのように人間が読める補助文字(ISBNや商品コードなど)を大容量の2次元コードに追加することは現実的ではありません。
そのため、もし2次元コードが読取不能になった場合、手動でのデータ入力といった代替手段がないと、業務の運用が停止してしまう深刻なリスクを抱えることになります。システム設計を行う際には、万が一2次元コードが読み取れなくなった際の代替プロセスや、データ復旧の限界を考慮した対策を事前に講じておくことが極めて重要です。
2次元コードの読み取り方
2次元コードは、スマートフォンや専用の2次元コードリーダー、ハンディターミナル、バーコードスキャナー(イメージャータイプ)で読み取ります。カメラでコード全体を捉えることで、内蔵されたソフトウェアが高速にデータを解析し、情報を取り込みます。
【個人向け】スマートフォンで読み取る
QRコードとJANコードは、特別な機器がなくても、今お使いのスマートフォンで手軽に読み取ることができます。しかし他のコードについては、スマートフォンの標準カメラ機能だけでは読み取れないことが多く、専用のソフトウェアをインストールする必要がある点にご留意ください。
Androidの場合:
カメラアプリを起動し、QRコードにカメラをかざすだけで、自動的にコードを認識し、関連する情報やウェブサイトへのリンクなどが表示されます。
iOS (iPhone) の場合:
標準のカメラアプリを開き、QRコードにカメラを向けるだけで、画面上部に通知バナーが表示され、そこをタップすることで情報にアクセスできます。
このように、スマートフォンがあれば誰でも簡単にQRコードの情報を取得できます。QRコードはWebアクセスに親和性が高いと評価されており、観光地の情報提供や教科書など、様々な場面で幅広く活用されています。
【企業向け】専用の2次元コードリーダーで読み取る
2次元コードはスマートフォンのカメラでも読み取り可能ですが、企業で大量のコードを扱う場合、より高速で効率的な専用スキャナやハンディターミナルの利用が業務効率の向上に直結します。
主な利用シーンとして、以下が挙げられます。
- 棚卸・在庫管理:膨大な商品の2次元コードを一括で高速スキャンし、リアルタイムで正確な在庫数を把握できます。手作業に比べ、大幅な時間短縮とミスの削減を実現します。
- POS・入出庫検品:レジでの精算時や、商品の入出庫時に2次元コードを素早く読み取ることで、顧客対応の迅速化や検品作業の精度向上が図れます。
専用機器は耐久性や連続読み取り性能に優れ、業務の生産性を飛躍的に高めるため、本格的な運用には不可欠な選択肢となります。
大手物流倉庫への導入事例
大手物流倉庫では、荷物に貼付されたバーコードの種類が多岐にわたり、さらに狭いスペースでの作業も多く、作業効率の低下が課題でした。コードの汚れや損傷による読み取りミス、そして読み取り位置合わせの手間も、入出荷作業や棚卸し作業の遅延を招いていました。そこで、大手物流倉庫ではデータ収集業務のさらなる効率化を図るため、アイメックスの二次元バーコードリーダー「WRS-230」を導入しました!「WRS-230」は指一本に装着できるコンパクトなデザインのため、作業員は両手の全ての指を自由に使え、スキャナの持ち替え無くスムーズに読取を可能して作業時間の短縮による効率アップしました。
また、360度全方向からの読み取りに対応しているため、バーコードの位置合わせが不要になり、どのような状態のコードでも瞬時に読み取ることが可能です。さらに、ブザーとバイブレーション機能で読み取り完了を確実に確認でき、作業ミスも大幅に削減されました。
まとめ
本コラムでは、2次元コードの種類、メリットやデメリットを解説しました。大手物流倉庫でのWRS-230導入による在庫管理精度向上事例から、2次元コードは大容量データを格納し、複数の情報を一つにまとめられるのが大きな利点であることが分かったと思います。これにより、作業指示書などで複数のバーコードをスキャンする手間を省き、一括読み取りでヒューマンエラーを減らせます。また、必要な情報をコード自体に埋め込めるため、オフライン環境でも利用可能です。
2次元コードの活用は、企業のDX推進の鍵となり、リアルタイムなデータに基づいた意思決定を可能にします。「最適な2次元コードの種類は?」「既存システムとの連携は?」といった疑問や要望がございましたら、ぜひバーコードのプロフェッショナルである私たちにご相談ください。2次元コードの基礎から応用まで、皆様のビジネスに最適なソリューションを丁寧にご案内させていただきます。本コラムでは、今後も皆様のお役に立つ情報の発信を続けてまいります。
投稿者プロフィール

- 業界27年のベテラン営業マン兼ライター。
積極的に海外からも良い製品を探してくるが基本的にはモノづくり大好き人間。